June 2011アーカイブ

アメリカ国防総省、NATO、IAEA等は劣化ウランにおける低線量の被曝による医学的危険性や疫学的リスクを積極的に認めてきておらず、その危険性を評価するのは科学的合理性ではなく政治的判断に基づくものであるかもしれないとの立場に立っている。

その判断は、核兵器保有国におけるウラン濃縮の際に生じる劣化ウランを効率的に利用することを考慮した経済的合理性に基づくものになるが、とくにオバマ政権のアメリカにおける、核兵器削減に伴う余剰ウランを利用する経済的合理性に基づく、原子力発電所の積極的推進を考慮した政治的コンセンサスを重ね合わせると、放射線医学においては科学的合理性が政治的判断に敗北しているのだが未だに一応の科学的合理性の衣を纏っている例として把握され直す可能性が存在している。

アメリカ政府による「戦争を早く終結させるために原爆を投下する決断を下した」との言説は、ジョセフ・ナイによれば「日本本土上陸をする際の米軍の損失が多大になることを考慮し、原爆を投下する決断を下した」といったある種の経済的合理性が背景に存在することを示唆するものであり、経済的合理性を達成するためには非人道的方法を採択しても構わないといったアメリカ国内においては許容されることができない基準を外国に対し適用していた国内と国外の情報格差を利用したダブル・スタンダードの例として把握され直すことができるかもしれない。そしてアメリカ政府が各国に対し民主主義や人権の保障を長期に亘り擁護し続けている長所と比較しながら公平に論じる必要があるのだが、そのダブル・スタンダードと外交政策に関し短期的視点に偏ることにおいて、チュニジアやエジプトを挙げるまでもなくアフガニスタンやパキスタンを含めた国際社会がアメリカ政府に対しストレスを感じている現状が挙げられ、それはABCやCNNで報道されることは少なく、一般のアメリカ人は政府や国内のメディアに対して違和感を感じている現状になり、それゆえアメリカの学生は海外に旅に出て現実を把握しているといったことが説明されるかもしれない。同じことは日本にも当てはまる。

一方日本の行政に携わっている官庁の役職者には東大出身が多いが、彼らは世間的に東大出身の肩書きが好まれていないことを十分認識しており(世間的に好まれていない点は早稲田でも同様だが)、その弱い立場を認識しているがゆえに同窓のネットワークを密にすると同時に海外の有識者とのネットワークを構築することによって彼らの見識の基盤を強化していると把握する視点を許容することについて問題は少ないのかもしれない。つまりアメリカ等の海外の担当部局との交渉においてささいな問題については議論が成立するかもしれないが、外交や防衛といった大きな問題について内外から始終プレッシャーを与えられながら交渉することが難しいと思われるのは、その根底において省庁の内部や国民の視点における個々の行政官僚の支持基盤といったものが脆弱なものであるがゆえに、国内に対し海外の見解を伝える立場として立ち回ることでしか自らの立場を保持することができないといった弱さがあるからではなかろうかと考えるときがあった。それゆえ外部被曝や内部被曝の危険性に関してアメリカ国防総省やIAEAの担当者の見解をできる限り尊重した外交および内政を行うことを慣例とし、過小評価されたリスクを採用したのは、結果として科学的合理性の下での議論でなく核兵器保有国が自国の政策を正当化するために用いた政治的判断に対するコンセンサスを核兵器保有国でない日本の担当者が欺瞞と知りながらも科学的合理性の下での議論として受け容れたことによるものであり、日本に居住する人々とくに福島の人々の安全性を担保する行政がうまく機能しなかったといった状況を生み出すことになったのは、その欺瞞が1つ1つ明らかにされつつある現状によって説明されることが可能であるかもしれない。

そして本題に戻ることにする。行政担当者が低線量の外部被曝および内部被曝を安全であると言い続ける理由は、アメリカ国防総省、NATO、IAEA等による、科学的合理性と異なる政治的コンセンサスを科学的見解として共有することを維持することが、海外とのネットワークを維持する際に先方からのプレッシャーを受けることを回避し、日々の仕事を進める上で妥当であるかもしれないとの担当者による判断が作用しているからであろう。したがって安全を語りながらも本質において日本国民の安全を科学的に担保するといった視点が欠落しており、さらにアメリカ同様国内と海外の情報格差を利用しているがゆえに、現在新たな社会問題が生じていることに繋がっているのだろう。

他方、放影研、放医研、放射線医学の専門家が低線量の外部被曝および内部被曝を安全であると言い続ける理由は、低線量の外部被曝および内部被曝を安全であると言い続ける政治的コンセンサスを受け容れた者が専門家として地位を確立することができる現状が背景にあり、それは海外においても類似した例を見受けることができるだろう。つまり原水爆が非人道的な兵器であることや劣化ウランの危険性を積極的に認める姿勢をアカデミズムの世界から排除する枠組みを肯定しなければアカデミズムの世界で生き残れないといった不自由さを常に抱えながら研究に従事する世界の難しさを眺めることができるかもしれないが、それゆえに福島の事故に直面した地域住民がリスクを意図的に過小評価されていたことを肯定するための科学的および道義的正当な理由が存在するとはならないだろう。

一歩踏み込んで話を続けるならば、私は、日本の行政の担当者や放射線医学の専門家が付き合ったほうがよいアメリカの行政の担当者や放射線医学の専門家が間違っているといったミスマッチが背景に存在しているからこの問題は生じているかもしれないと考えるときがあり、また同時に彼らアメリカの行政の担当者や放射線医学の専門家が付き合った方がよい日本の行政の担当者や放射線医学の専門家が間違っているかもしれないといったミスマッチも背景に存在していることも考慮に加えたほうが妥当かもしれないが、アメリカに限らず世界は多様であり、世界の人々の共通認識といったものがあり、ミスマッチが解消されているならば、上記の安全ドグマの押しつけとは異なったものになるだろうと考えることがある。

しかし一方でこれは行政の担当者や放射線医学の専門家といった確信犯との対峙であるといった見方に立つことがある。どれほど科学的に妥当な結論を見出そうとも、政治的判断に対するコンセンサスと異なった結果であれば、それがメインストリームに登場する機会は少ないであろうといった現実が長らく続いている。私は個人的には国民投票を通じて是か非かを決めていくことが妥当であろうと考えるときがあるが、その投票のタイミングに関し既得権益の構造が一番不利にならない時期が選ばれる傾向にあることを考慮すると、個々の国民が既得権益の構造に対し積極的に国民投票の実施を働きかけ続け、変革のメスを入れるぐらいのことをやらないことには何も始まらないだろうと考えることがある。

前回同様これが全てであるとは言及しないが、アメリカのWikipediaの「劣化ウラン」の一部を訳すことにより上記の知見をサポートすることにする。URLは以下に示されるとおりになる。
http://en.wikipedia.org/wiki/Depleted_uranium_ammunition

劣化ウラン

4 健康上の考慮事項

弱い放射性を有していることに加え、ウランが有毒な金属であるため、腎臓、脳、肝臓、そして多数の他のシステムにおける正常な機能はウランの被曝によって影響を受けている可能性がある[7]。劣化ウランはヒ素や水銀のような他の重金属より毒性が低いものである。それは弱い放射性を有しているが、その長い半減期のため放射性を有したままである。有害物質と疾病登録のための機関は「ウランから被曝するには、あなたがたがそれを食べ、飲み、呼吸し、皮膚の表面で接触することによる必要がある」と述べている。

しかしギリシャのアッティキにある原子力技術放射線防護研究所は「劣化ウラン弾の衝撃と燃焼の間生み出されるエアロゾルは、衝撃を与えられた敷地周辺の広い地域を潜在的に汚染する可能性があり、民間人や軍人によって吸入される可能性がある」と指摘している[9]。アメリカ国防総省は、人間におけるいかなるタイプの癌も天然ウランや劣化ウランのいずれかによる被曝の結果として見受けられないと主張している[66]。

早くも1997年にイギリスの医師はイギリスのMoD(国防省)に、劣化ウランは肺、リンパ、脳における癌の発症のリスクを増加させると警告し、一連の安全上の注意を勧告している[67]。医師の助言をまとめたレポートによると、「不溶性の二酸化ウランの粉塵を吸入すると、もし存在しているならば、ゆっくりとした除去のためそれは肺に蓄積するだろう、そして化学的毒性は低いけれども、癌を導く肺における局所的な放射線による損傷が存在するかもしれないだろう」といったことになる。レポートは、「全ての民間人や軍人がウランの粉塵の吸入が長期のリスクをもたらすものであることに気付くべきであり、[粉塵は]肺、リンパ、脳における癌の発症のリスクを増加させることが示されている」と警告している[67]。

培養された細胞や実験におけるげっ歯類を用いた研究は、慢性的な被曝からの白血病、遺伝、生殖、神経系への影響の可能性を示し続けている[5]。さらに2004年初頭にイギリス年金控訴審は、1991年の湾岸戦争における戦闘による先天障害の主張の原因を劣化ウラン中毒に帰している[68][69]。また2005年の疫学におけるレビューは、「全体として人間における疫学上の証拠は劣化ウランに被曝した人の子孫における出生時における障害のリスクにおける増加と一致している」と結論づけている[10]。

潜在的な健康への悪影響とその環境中への放出のため焼夷弾の使用は物議を醸している[70][71][72][73][74][75]。その残留放射能に加え、U238は、その化合物が実験室における研究から哺乳類に対して有害であると知られている重金属である。

金属ウランはゆっくりと腐食する傾向があり、小さな断片は空気中室温で自然発火する[26]。劣化ウラン弾が装甲を貫き、燃焼するとき、それらは、吸入され、傷を汚染する可能性があり、劣化ウラン酸化物を生じる。また弾や装甲の破片が体内に取り込まれる可能性がある。

4.1 化学毒性

劣化ウランの化学毒性はその放射線の危険より試験官の中で約100倍大きいものになる[76]。劣化ウランの健康への影響は例えば被曝の程度や内部か外部かといった要因によって決定される。ウランの内在化が発生する主要な3つの経路が存在しており、それは吸入、経口摂取、取り込まれた断片もしくは榴散弾による汚染になる。例えば相(粒子状または気体)、酸化状態(金属またはセラミック)、ウランやその化合物の可溶性といった特性は、それらの吸収、分布、移動、除去、結果としての毒性に影響している。例えば金属ウランは六価ウラン(VI)や三酸化ウランのようなウラニル化合物と比較して相対的に毒性が低いものになる[77][78]。

ウランは微細に分割されたときに自然発火する[26]。それは不溶性のウラン(IV)や可溶性のウラン(VI)塩を生じる空気や水の影響下において腐食していくだろう。可溶性ウラン塩は有毒である。ウランはゆっくりといくつかの器官、例えば肝臓、脾臓、腎臓に蓄積していく。世界保健機関(WHO)は、体重1kgあたり0.5μgもしくは70kgの成人に対して35μgといった一般公衆に対する可溶性のウラン塩の日々の許容摂取量を定めている。

実験に関する動物における疫学上の研究や毒性試験はウラン塩が発癌性や白血病誘発性をもち[83]、免疫毒性[79]、肢体に不自由を生じさせる性質[80][81]、神経毒性[82]を有するものとして示している。疫学者による2005年のレポートは、「人間における疫学上の証拠は劣化ウランに被曝した人の子孫における出生時における障害のリスクにおける増加と一致している」と結論づけている[10]。

劣化ウランのエアロゾルの被曝における初期の研究は、ウラン燃焼生成物の粒子はすぐに大気中において沈着し[84]、これゆえ対象地域から数km以上離れた人口に影響を与える可能性はなく[85]、もし吸入されるならそのような粒子は長期において肺の中で溶解しないままであるかもしれず、これゆえ尿中に検出される可能性があることを想定していた[86]。燃焼したウランの飛沫は激しく、それらの元の質量の約半分のウランからなるガス状の蒸気を生じさせる[87]。ウラン酸化物におけるウラニルイオンの汚染は劣化ウラン弾の火災における残留物の中において検出されている[88][89]。

4.2 放射線の危険性

その同位体により放射されるα粒子はわずか数cmしか移動せず、1枚の紙によって止めることが可能であるため、純粋な劣化ウランからの放射線による外部被曝は低い関心を集めるのみだった。また劣化ウランに残る低濃度のウラン235は少量の低エネルギーのγ線のみを放射していた。

しかし、隣接する組織が繰り返し照射されるかもしれないので、組織に留まった粒子からの内部α線被曝はさらに深刻な問題になる。

世界保険機関(WHO)によると、それからの放射線量は同量の精製された天然ウランの約60%になるだろう。天然ウランの約90μgは概して水、食料、空気の正常な摂取の結果として人体の中に存在している。この大半は骨格に見受けられ、残りはさまざまな器官や組織に見受けられる。

しかし一ヶ月かそこらの内に劣化ウランは、ウラン238からのα粒子とほとんど同じ割合でβ粒子を放射するある量のトリウム234とプロトアクチニウム234を生じる。β粒子は各々のα粒子に対して放射される(ラジウムのシリーズを参照せよ)。

その長い半減期(44億6000万年)同様、さらに多くの放射性同位体の除去により、純粋な劣化ウランにおける放射線の危険性は自然に発生するウランより(60%)低いものになる。劣化ウランはその同位体組成において天然ウランと異なるが、その生化学は全ての実用的な目的に対し同じである。さらなる詳細においては、環境中のアクチニドを参照せよ。

4.3 湾岸戦争症候群と兵士の不満

免疫系疾患と慢性的な痛み、疲労、記憶喪失を含む他の幅広い症状の増加する割合が1991年の湾岸戦争における戦闘の兵役経験者における4分の1以上において報告されている[91]。劣化ウランは湾岸戦争において初めて大規模に30mm以下の口径の機関銃の弾において用いられたので、湾岸戦争の兵役経験者の病気に関する研究諮問委員会によって、劣化ウラン弾からの燃焼生成物は潜在的な原因の1つとして考えられている。ペルシャ湾、ボスニアやコソボにおける紛争の兵役経験者において彼らの遺伝子における通常のレベルの14倍までの染色体異常が見受けられていた[92][93]。血清可溶性の遺伝毒性をもつ肢体に不自由を生じさせる性質は先天性の障害を生じさせ、白血球において免疫システムの損傷を引き起こしている[94]。

人間における疫学上の証拠は劣化ウランに被曝した人の子孫における出生時における障害のリスクにおける増加と一致している[10]。1991年2月湾岸戦争の戦闘における15,000人の兵役経験者と15,000人のコントロール群の兵役経験者における2001年の研究は、湾岸戦争の兵役経験者において先天的障害を有する子供をもつ確率が1.8倍(父)から2.8倍(母)以上になることを見出した[95]。2年後の子供の医療記録における検査の後、先天的障害の割合が20%以上まで増加していた。

「Kang博士は、男性の湾岸戦争の兵役経験者は湾岸戦争の兵役を経験していない者の2倍先天的障害をもつ子供を有することを報告していることを見出した。さらに女性の湾岸戦争の兵役経験者は湾岸戦争の兵役を経験していない者のほとんど3倍以上先天的障害をもつ子供を有する可能性があった。数字は医療記録の検証とともに若干変更されている。しかしKang博士と彼の同僚は、動員された男性の兵役経験者の子供における先天的障害のリスクはそれでも動員されていない兵役経験者の約2.2倍になると結論づけた[96]。」

2004年初頭、イギリスの年金控訴審は1991年2月の湾岸戦争の戦闘の兵役経験者からの先天的障害の主張の原因を劣化ウラン中毒に帰した[97][98]。劣化ウラン弾が用いられる戦争で闘ったイギリスの兵士の子供は、父親から伝えられる遺伝的疾患、例えば先天的に肢体が不自由な性質、一般的には「先天的障害」と呼ばれているものを被るさらに大きなリスクを抱えている。イギリス軍の研究において、「全体的に男性によって報告された妊娠中における先天的に肢体が不自由になることのリスクは湾岸戦争の兵役を経験していない者に比べて、湾岸戦争の兵役経験者において50%高いものになっていた[99]。」

アメリカ陸軍は、劣化ウランと1993年以来劣化ウランの代わりにアメリカ海軍が用いているタングステンのような他の弾丸兵器の物質の潜在的リスクに対する継続的研究を委託した。アメリカ軍放射線生物学研究所による研究は、劣化ウランやウランのいずれかによる普通の被曝は有意な毒性学的恐れを示していると結論づけている[100]。

さらに高いリスクに直面しているかもしれない兵役経験者のある特定の一部のグループは、榴散弾の傷から劣化ウランの破片を体内に有している人々を含んでいる。軍放射線生物学研究所により実験室において行われたラットの研究は、6ヶ月の研究期間の後、劣化ウランの破片を体内に有していた砂漠の嵐作戦における兵役経験者の尿における平均レベルと比較し、注入されたペレットから生じる劣化ウランで扱われたラットは、コントロール群に関して体重を減少させる有意な傾向を明らかにしていることを示していた[101]。

ウランのかなりの量はかれらの脳や中枢神経系に蓄積しており、外部の刺激に対する海馬の神経活動における有意な減少を示していた。研究の結論は、慢性的なウラン中毒から生じる脳の損傷は以前に考えられていたより低線量においてありうることであることを示している。1997年に行われたコンピューターベースの認知神経科学的なテストからの結果は、尿におけるウランと「パフォーマンスの効率や正確さを評価する自動テストにおける問題のあるパフォーマンス」との関係を示していた[102]。

2003年に劣化ウランにおける王立協会のワーキンググループの議長であるフェローのBrian Spratt教授は、「誰が最初のモニタリングと除染をするのかといった疑問は科学的疑問というよりは政治的なものあり、政治提携は、劣化ウランが潜在的に危険であることを認識し、どこでどの程度劣化ウランが展開されているかについてオープンにすることによってそれに取り組むことに迫る必要がある」と述べていた[37]。

4.4 イラクの人口

2001年以来、イラク南部のバスラの病院において医療スタッフは、湾岸戦争に続く10年間に生まれた乳児において小児白血病や遺伝的に肢体が不自由になる状況の発症における急激な増加を報告していた。イラク人の医師はこれらの肢体が遺伝的に不自由になる状況の原因を劣化ウランの潜在的長期的影響、そしていくつかの新聞によって繰り返されている意見に帰していた[74][103][104][105]。2004年にイラクは全ての国の白血病において最も高い死亡率を有していた[106]。イラク人の医師によって求められているように[107]、ウラン兵器を禁止する国際連合(ICBUW)はバスラの地域における疫学的研究を支持することを求めているが、何の査読研究もまだバスラで行われていない。

医学的調査であり、2010年7月に公表された「2005年から2009年までのファルージャにおける癌、乳児死亡率、出生性比」は、癌と先天的障害における増加が驚くほど高く、2009年から2010年までの乳児死亡率が13.6%に達していることを示している。そのグループは、2004年における実際の戦争や被曝の後の5年間における急激な増加を、バルカン戦争の後展開されたイタリアの平和維持軍のリンパ腫[108]やチェルノブイリのフォールアウトによるスウェーデンのある地域における発癌リスクの増加と比較している。遺伝的ストレスの原因となる発癌作用を引き起こす原因と時期について、そのグループは別のレポートの中で述べるだろう[109]。

4.5 1999年におけるNATOのユーゴスラビア爆撃

2001年にKosovska Mitrovicaにあるセルビア人経営の病院の医師は、悪性疾患を被る患者の数が1998年以来200%増加したと述べている[110]。同じ年に世界保健機関(WHO)はコソボからのデータは結論のでないものであり、さらなる研究が求められると報告した[111]。

ボスニアヘルツェゴビナにおける国連環境計画(UNEP)による2003年の研究は、低レベルの汚染が劣化ウランの貫通衝撃点における飲料水と大気中の粒子において見受けられると述べていた。そのレベルは警告のための原因にならないものとして述べられていた。しかしUNEPの劣化ウランプロジェクトの議長であるPekka Haavistoは、「この研究の知見は紛争後の状況において適切な除染と市民防護の措置の意義を再度強調するものである」と述べていた[112]。

4.6 影響がほとんどないことを示す研究

2005年とそれ以前の研究は、劣化ウラン弾は測定できる決定的な健康への影響を有していないと結論づけていた。

1999年の文献であるランドコーポレーションによって行われたレビューは、「吸入されたか、経口摂取されたか否か、もしくは非常に高い線量でさえ、癌や劣化ウランや天然ウランにおける被曝から受ける放射線に関連した全ての他の健康上の悪影響に関し文献の中に記録された証拠はない」[113]と結論づけ、劣化ウランの危険性を評価することにおいて責任を負っているアメリカ国防総省次官によって著されたランドレポートは、議論を科学に基づくものというより政治的なものであると考えていた[114]。

2001年における腫瘍学の研究は、「現在の科学におけるコンセンサスは、劣化ウラン弾が展開された場所における人間に対する劣化ウランによる被曝は癌を誘発させる可能性が非常に少ない」と結論づけていた[115]。元NATO事務総長であるRobertson卿は2001年に、「存在している医学的コンセンサスは明確である。劣化ウランからの危険性は非常に限定的であり、非常に特定の状況に対して限定的である。」[116]と述べている。

オーストラリアの防衛省による2002年の研究は、「ウラン処理産業においてウランにより被曝した労働者における死亡率や罹患率において確立された増加は存在していない、そして湾岸戦争の兵役経験者における研究は、傷に関連した戦闘により劣化ウランの破片を体内に有する人々において、尿中の増加したウランレベルを検出することは可能であるが、追跡調査の10年後において劣化ウランに関連した腎臓における毒性や他の健康上の悪影響を検出することは不可能だった」[117]と結論づけた。Pier Roberto Danesi、当時の国際原子力機関(IAEA)のSeibersdorf研究所の所長は2002年に、「現在劣化ウランは健康上の脅威としてみなされていないといったコンセンサスが存在している」と述べている[118]。

IAEAは2003年に、「他の重金属と同じように劣化ウランは潜在的に有毒であるものの、劣化ウランと人間における癌や他の有意な健康上もしくは環境上の影響における増加との証明された関連は存在していない。十分な量において、もし劣化ウランが経口摂取され、吸入されるならば、その化学的有毒性のため、それは有害である可能性がある。その高い濃度は腎臓の損傷の原因となる可能性がある。」と報告していた。IAEAは、劣化ウランは潜在的に発癌性を有する一方、それが人間に対し発癌性を有している証拠は存在していないと結論づけた[119]。

Sandia国立研究所のAl Marshallによる2005年の研究は、1991年の湾岸戦争の間、劣化ウランによる偶然の被曝と関連した潜在的な健康への影響を分析するために数学的モデルを用いていた。Marshallの研究は、劣化ウランからの発癌リスクのレポートは兵役経験者の医学統計によって支持されていないと結論づけたが、Marshallは生殖における健康への影響を考慮していなかった[120]。

4.7 アフガン戦争の結果としての汚染

カナダのウラン医学研究センターは、5ng/L以下というイギリス人口における基準となる濃度よりはるかに高い、劣化ウランの80〜400ng/Lという濃度を示したジャララバードにおける爆撃を受けた民間人の地域からの尿のサンプルを手に入れた。

4.8 2006年のレバノン戦争の結果としての汚染

土壌と水のサンプルは2006年のレバノン戦争の結果においてKhiamから採取された。15のサンプルのうち、2つが高レベルの劣化ウランを含み、4つのサンプルが低濃縮のウランを含んでいた[122]。さらにベイルートからの15の尿のサンプルが検証された。2つは低濃縮のウランを含んでいることが検出され、1つは高レベルの劣化ウランを含んでいることが検出された[123]。

4.9 軍事行動の結果としての大気汚染

非常に低レベルの劣化ウラン汚染と一致する増加した放射線レベルはイギリスのいくつかのモニタリングサイトにおいてイギリス核兵器公社によって採取された大気中のサンプルの中に検出されていた。これらの増加した記録は、アフガニスタンにおけるアナコンダ作戦や第二次湾岸戦争の開始時における「衝撃と畏怖の爆撃作戦」と一致しているように思われる[31][124]。

4.10 他の汚染事例

1992年10月4日にエル・アルボーイング747-F貨物航空機の1862便はアムステルダムのアパートの建物に墜落した。地元住民と救助隊員は、墜落とその後の火災の間に有害物質の放出したことに起因しているさまざまな予期せぬ健康問題に不満を訴えていた。当局は、事故によって影響を受けていると信じられているこれらの人々において2000年における疫学的研究を行った。研究は、劣化ウラン(航空機のエレベーターにおいて均衡を取る重みとして用いられている)と報告されたいかなる健康上の不満とも関連性があると示す証拠が存在しないと結論づけた。

福島に関し、疫学上100mSv以下の被曝において人体に対する健康上の被害は確認されていないといった専門家、メディア、行政側の言説を耳にすることが多かったが、この記事はそれに対する反証になり、Oxford Survey(OSCC)が示している10〜20mSvの被曝において"15才までの子供たちの間における発癌率が40%増加する"とは具体的にどういったことかを示すものになる。

始めにこの記事に対するありうる反証は、1. 本論文における分析は十分な標本のサイズを有していない、2. 母親の記憶に基づく回想的調査のためバイアスを含む可能性がある、3. 広島と長崎における807人のケースと比較するとリスクの推定値が10倍異なっている、4. スウェーデンにおける子宮内で照射の後白血病を発症する症例の増加が見られなかったといったことになり、2.については本論文中に言及があるものの、10〜20mSvの被曝における子供や大人に対する外挿においては注意を要するとの見方がフランス科学アカデミーによって示されていることが追記される現状になる。

本論文によれば、1953年から1967年までのオックスフォード調査からのデータを用いているが、フィルムあたりの平均した胎児の被曝線量は1945年の460mradから1965年の約200mradに減少しており、それは4.6mGyから2mGyといった吸収線量に換算することができるが、X線の放射線荷重係数を1とすると4.6mSvから2mSvに収まり、5枚X線撮影をしたとすると、23mSvから10mSvに収まることになる。

BithellとStewartの表11によれば、1181人のケースにおいてリスクの推定値1.47の95%信頼区間は1.34から1.62になり、これは2mSvから23mSvの間に収まる被曝をしたときに子宮内における被曝による15歳までの小児癌における全体としてのリスクが95%の確率で被曝していない状態に対する34%の増加から62%の増加の間にある推定値に収まることを示している。そして妊娠時に3枚X線撮影をしたときの胎児の被曝線量が6mSvから13.8mSvの間に収まるときに96人のケースにおいてリスクの推定値1.54の95%信頼区間は1.13から2.11になり、これは子宮内における被曝による15歳までの小児癌におけるリスクが95%の確率で被曝していない状態に対する13%の増加から111%増加の間にある推定値に収まることを示している。

またBithellとStewartの図1によれば、2mSvから4.6mSvの間に収まる被曝から10mSvから23mSvの間に収まる被曝へと線量が5倍増加したとき、小児癌におけるリスクが増加することを示している。

専門家、メディア、行政側がこういったことを既知として「ただちに健康に影響はない」といったことを発言することは既得権益における構造の保護を考慮した不適当なものであり、本論文は外部被曝に関するものであるが、胎児における低線量の内部被曝の暫定規制値の妥当性に対し疑問が投げかけられることにも変わりはない。

前回同様これが全てであるとは言及しないが、BithellとStewartによる『胎児照射と小児悪性腫瘍:オックスフォード調査からのイギリスのデータの再検討』の一部を訳すことにより上記の知見をサポートすることにする。URLは以下に示されるとおりになる。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2009418/pdf/brjcancer00324-0002.pdf

Bithell, J.F., and A.M. Stewart、1975年、胎児照射と小児悪性腫瘍:オックスフォード調査からのイギリスのデータの再検討、Brit J Cancer 31:271-287

要旨

この論文は小児癌におけるオックスフォード調査からの産科撮影に関するデータ、つまり1953年から1967年までの死亡例を再検討している。8513の症例が同数の該当する対照例とともに分析の中で追跡され、用いられている。相対的なリスクの推定値(全体で1.47)は、異なった死亡時の年齢に対する異なった腫瘍グループの間や性別間において有意に変化していない。母親の年齢、社会階級、住居のある地域、母体罹病率といったその他の疫学的要因が分析され、関連性において幅のある程度を示しているが、選択された影響に関し、観察されたリスクを説明できるほど十分ではない。リスクの被曝をともなうX線撮影に対する依存は十分に有意であり、線形関係によってよく記述されている。被曝のタイミングと理由が同様に検証されている。生年によるリスクの分析は固形および造血腫瘍の双方に対しリスクの一定の減少のパターンを示しており、このことは部分的には被曝をともなうX線撮影あたりのさらに低い線量に起因しているかもしれないが、同様に用いられたX線撮影におけるさらに少ない回数によるものである。その結果、小さな臨床的意義を常に有するリスクが将来の調査において実質的に検出できない可能性がある。

小児癌のオックスフォード調査(O.S.C.C.)は1953年以来イギリスにおける悪性疾患で死亡するすべての子供における継続的な回想的研究になる。もともとは10歳以下の死亡例のみをカバーしていたのだが、それ以来生存している症例や15歳までの子供を含めるために拡張されてきたものになる。

最初にStewart他(1956)によってレポートされるように、この調査の主な発見は子供における胎児期の照射の影響になる。最初の結果はすぐに確認され(Stewart,Webb,Hewitt,1958)、そのときのデータは10歳以前に悪性疾患を発症する照射された子供のリスクが2倍になることを示している。

当然のことながら、この重要な発見はかなりの関心と論争を呼んだ。オックスフォードのデータは綿密に調査され、多くの批評がなされた。特に母親の記憶を部分的に信頼するオックスフォード調査の回想的性質はあきらかにある程度のバイアスを含んでいる可能性があった。

このため多くの予見的研究が行われた。これらの研究の内最大のものはアメリカ北東部で行われ、放射線の記録において妥当であるとして選ばれた37の大きな産婦人科医院において生まれた100万人の子供のほぼ4分の3における癌と白血病の数を追跡していた(MacMahon,1962)。(情報は回想的な方法で得られていたが、技術的な期待を伴うものであり、確かに症例管理におけるバイアスの可能性を除外していたので、MacMahonの調査は公平であるとみなせる)この研究はオックスフォード調査により最初に生じた科学上の問題に決着をつけるものであると言うことはおそらく正しいだろう。

MacMahonは1.42というリスクを推定し、それは一見するとオックスフォード調査で得られるよりかなり低いものになった。このことはおそらく、後者におけるさまざまな小さなバイアス、予見的研究においてさまざまな付随する要因を標準化することがさらに簡単になったという事実、同様にこの期間を超えたリスクは放射線技術の改善によりほぼ確かに減少していたという事実によるだろう。

したがって2つの調査の結果は最初に公表されたものより矛盾が少ないものになる。しかし一方で他にいくつかのさらに小規模な予見的研究がなされているものの、不十分なサンプルのサイズのため主に決定的な結果をともなっていないと思われる。Court Brown,Doll,Hill(1960)の研究は例えば、真のリスクにおける2倍の増加に気付く良い機会を有するに十分なほど大きいものであるけれども、オックスフォード調査の初期の知見から予期されるように、観察される白血病の割合における5000の増加を統計的に有意であるとみなしていない。実際には期待される数より少ない(10.5に対する9)照射された子供において観察された症例が存在しており、回想的にはこれは偶然によるものであるとの十分な可能性があるが、オックスフォードの主張に対しいくつかの疑問を投げかけるものであると思われている。MacMahon(1962)は見事に状況を検討し、こう書き記している。「要約すると・・・現在の研究に観察されるように、これらの研究(7)の1つとしてリスクの増加が示されない仮説と40%のリスクの増加が示される仮説(1.4という相対的リスク)との間を区別するための十分な標本のサイズを有していない。」問題はもちろん、予見的研究は子供における悪性疾患のようなまれな疾患に対する病原因子を検出する十分な機会を有するために非常に大規模になされる必要があるということになる。

最も最近に行われた予見的研究(Diamond,Schmerler,Lilienfeld,1973)は同様にややあいまいな結果を得ており、現代のX線検査における線量の減少の観点から、MacMahonの調査は決定的な予見的研究のままであろうといったことは非常にありうることになる。一方、オックスフォード調査は異なった要因の間におけるさらに複雑な関係を調査するためにユニークな立場にある。

科学の世界の大部分は低レベルの照射における発癌性に対し証拠を有しているけれども(Mole,1974)、今なお長引いた論争が存在しており、それは主に一方でオックスフォード調査から得られるラドあたりのリスクの推定値と他方で日本の原爆生存者におけるABCCデータからの推定値が一致していないことに基づいている。主な議論は現在、以下で検証されるX線を照射された母親とX線を照射されていない母親の比較可能性に依存している。

しかし本論文の主な目的は低レベル放射線リスクの存在の有無に対する批判的な検討ではなく、むしろ私たちはそのことを前提として受け容れ、他の利用できる情報に関してO.S.C.C.を検証したいと願っている。

一旦この前提を受け容れると生じる興味深い可能性の1つは、別個のグループとしての放射線を原因とする症例やそれらの特性の区別における識別になる。このことにおける困難は、1.5という相対的リスクや10%というX線を照射された人口における頻度をともなってさえ、全ての症例のわずか約5%が放射線を原因とするものであるといったことにある。このことは、いくつかのかなり高度な技術が含まれる確率や分布を推定するために求められていることを意味している(Kneale,197 1)。ここでこれらの議論や分析を繰り返すよりむしろ、私たちはデータにおける比較的簡単な記述に限定されるべきであろう。唯一のなされるべき技術的試みは、出生コホートに対する死亡時の異なった年齢やその逆におけるリスクの推定値を標準化するための分析になる(同様にBithell,1975を参照せよ)。

結果

(4) 線量反応関係

観察されたX線の影響の妥当性に対する補完的な証拠の内最も説得力のある要素の1つは、それが推定された被曝とともに増加することになる。表11は病院の記録と一致した相対的リスクや何枚のフィルムが被曝されたかを示しており、これはケース群とコントロール群の双方の約60%に対し利用できる。関連している妊娠期間中いくつかの腹部のX線検査が影響を受けていることを示す最初の調査における詳細がここや次のセクションにおいて分析されている。リスクの一様性に対する簡単な検定は(未知のカテゴリーを除外する)χ2=11.3、自由度4を与え、それは5%水準で有意になる。しかしトレンドはフィルムの枚数にともない強く増加する傾向にあり、トレンドに対するχ2を除外することは線量反応関係に対するかなり強い証拠を与えており、χ2=10.5、自由度1になる。

フィルムの枚数や被曝あたりの線量における変化に対し近似の考えを用いることに対する相当の困難さを考慮すると、時期と異なった病院における双方に関し、影響がその考慮と同じくらい明白になることは驚くべきことである。

定量的関係を得るために被曝データを分析することにおいて多くの方法が存在している。例えば図1はフィルムの枚数に対するリスクの増分をプロットした結果を、そして線形荷重回帰をあてはめた結果を示している。(ケース群とコントロール群の双方がX線照射されたペアを除去することによるマッチングを利用し、この分析におけるリスクは独立した推定値として計算されている。)回帰直線が事実上原点を通り(切片は0.066±0.12になる)、0.180±0.06といった傾きをもつことが理解されるだろう。もし私たちが曲線に原点を通り、logをとる制約をおくならば、私たちは、時間にともなう被曝の変化を許容するさらに広い分析においてStewart and Kneale(1970)によって得られる0.915±0.329と甚だしく異なっている訳ではない結果になる、1.06±0.27といった関係を有する次数とべき乗則の指標を推定することが可能である。そのため証拠はリスクとフィルムの枚数との間の関係が線形になる点で非常に説得力のあるものである。

他の著者は異なるアプローチを採用している。例えば実際Newcombe and McGregor(1971)は、リスクの推定値における信頼区間の幅のため、線形以外の関係を除外することができないと議論している。しかしHolford(1974)は仮説に対する支持という統計的概念に基づいた分析によりこの観点に反対しており、図1から期待されるかもしれないものは線形の仮定がかなり最も蓋然性が高いことになると結論づけている。有意性検定のさらに古典的な理論は本質的に同じ結果を与えており、例えば二次の曲線をあてはめることは有意に改善されていないあてはめを与えている。

フィルムあたりの線量を推定する試みは、本当の線量反応曲線が信頼できる情報の欠如と産婦人科における技術が研究の期間におけるフィルムあたりの線量における注目される減少をおそらく導いた事実によって得にくいことを考慮している。Stewart and Kneale(1970)の計算は、フィルムあたりの平均した胎児の線量は1945年の460mradから1965年の約200mradに減少しているといった仮定に基づいている。このことは100万人の胎児とラドあたりの572±133という推定されたリスクを導いていた。かなりの論争が、この推定値と広島と長崎の原爆生存者からの研究から得られる推定値との明白な不一致によって生じている(Jablon and Kato,1970)。10歳までの追跡調査は被爆時の子宮内の子供における悪性疾患の唯一のケースを明らかにしており、これは線形線量反応直線におけるオックスフォード調査の推定値を外挿することによって予測されるだろう値より何倍も小さいものになる。

しかし後者の推定値における統計上の誤差は出産前のX線診断における実際の線量についての不確実性とともに重要でないといったことが明らかである。Mole(1974)は状況を再検討しており、もし計算における全ての仮定がその意図で選ばれているならばそのときのみ、原爆照射に対する日本のデータから得られるリスクはX線診断に対する推定値と一致するとみなされることができると結論づけている。さらに彼はそのとき、細胞の滅菌における放射線生物学上の知識や線量反応曲線の非線形性の結果に照らしてこれらの仮定に疑問を投げかけている。

ディスカッション

上記から示唆されるように、疫学的観察から特定の関係が特定の方向で因果関係を説明されることをはっきりと結論づけることは論理的に不可能である。同様に回想的研究が必然的に予見的調査によって共有されない困難さを含むことも事実である。情報の点で大きな可能性を有しているため、それは回想的研究の価値がないことを示していない。

私たちが本論文でしようとしたことは、オックスフォードのデータは公正で、体系化されているので、そのデータをユニークなものとして示すことである。リスクがさまざまな疫学的要因に対し標準化されるとき、推定値において小さな減少が生じることは事実であるが、しかしこのことは放射線の関係を完全に説明するには非常に不十分である。またMole(1974)によって指摘されているように、非常に異なる照射率にもかかわらず双生児における死亡率の増分が単生児における割合と非常に類似している事実はX線照射の影響を受けやすい症例の選択におけるX線増加の可能性に対し強く作用している。

もし照射された症例が特に年齢と腫瘍のタイプに関して照射されていない症例とのさらなる違いを示しているならば、本物の因果関係はさらに説得力を増し、おそらくさらに事前の期待に沿ったものになるだろう。しかし特にもし私たちがまだ病原面で原因不明であるが小児腫瘍の大部分が低レベル放射線の分子における影響に類似したプロセスにより子宮内で始まっていると推測するならば、そのような違いが存在していないことは本質的に放射線リスクの仮説に対し不利に作用しないだろう。

また産婦人科におけるX線撮影の発癌性への影響についての疑念に対し、リスクとX線撮影の回数における極度にもっともらしい関係が決定されるかもしれない。事実、予測と一致してとてもうまくいっているようであるが、照射プロセスの全ての属性、推定された線量同様、理由、タイミング、年は、かなり説得力のある補完としての支持を放射線リスクの仮説に対し与えている。確かに他の点においてオックスフォードのデータにおける完全な説明は最も精巧で独創的な仮定の集合を必要としているだろう。

最後に、放射性発癌の最も単純なモデル、離散的な細胞における出来事を表現するポワソン過程のモデルは明確に照射による低レベルの影響を予測するだろうといったことを述べてもよいかもしれない。閾値の存在は、複数のヒット過程のみならず修復能力における考えと一致していないさらなる広範な仮定を必要としている。1つはそのため、最も単純で最も明白な含意ほど決定的な証拠を受け容れていない通常のOccamの剃刀の状況にあり、いかなる照射も潜在的に発癌性を有し、子宮内における被曝のラドあたりのリスクは大雑把にオックスフォード調査で示唆されるものに沿ったものになる。

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