オリバー・ストーン、ピーター・カズニックによる"Untold History of the United States"を読んで、パート2

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以下はオリバー・ストーン、ピーター・カズニックよる"Untold History of the United States"における第14章の概略を紹介したものである。

第14章における筆者たちの主張は、オバマ政権をテーマに据えながら、脅威としてみなしていない国々をアメリカ軍が侵略するとはどういった帰結をたどるのか、各国を取り締まることは本当にアメリカの利益になるのであろうか、失業率が上昇し、インフラストラクチャーが老朽化し、社会的サービスが削減されたときにアメリカはグローバルな国家を維持する余裕があるのだろうかといった問題意識に集約され、アメリカを本質的な意味において民主的にし、公平性を実感できるものにし、革命の魂を取り戻すといったアメリカを変革するための希望に対する一助として、市民の中に存在している歴史観から教訓を学び取る選択肢があることを織り込んでいた。

個人的な願望であるが、以下の概略が上記の作品に直接手を触れてみる契機として位置づけられ、私たちの歴史的展望を広げる参考材料に含まれることを期待している。

第14章の概略

オバマは『スミス都へ行く』の中に登場する理想主義的なジェファーソン・スミスよりはるかに物分かりがよくシニカルであり、支配階級である消息通に囲まれることを知っていたので、選挙戦を通じて約束していた大胆な改革や過去との断絶を示す政策を先手を売って棚上げにしていた。

オバマはブッシュがたびたび国家機密を持ち出すのを批判していたが、ブッシュ時代の拷問や他の人権侵害に対する起訴を妨害しており、司法省はアサンジやウィキリークスに関する他の個人をスパイ防止法の下で処罰する方法を模索しており、ニュート・ギングリッチはアサンジを敵の戦闘員と呼んでおり、サラ・ペイリンはアサンジが手を血に濡らした反米主義者であるかのように標的にすることを望んでいたが、ジェームズ・グッデールはそれがジャーナリズムにおける謀議として示された起訴について実効性のある前例になると警告し、アメリカにおける報道の自由が侵食されていく様子を描き出していた。

民主主義に対するアメリカの自負は冷笑されており、スーマス・ミルンはアメリカ政府の対応が混乱に向かって七転八倒していると記しており、自由の国であるが情報の自由とは無縁であると述べ笑っていた。そして2009年にヒラリー・クリントンがインターネットに対する自由に干渉する中国を非難したことを皮肉のように眺めていた。

オバマは、もしホワイト・ハウスに1冊の本を持って行くならば、それはドリス・カーンズ・グッドウィンの『リンカン』になるだろうと述べており、それは政治的ライバルや個人的に中傷する人々を彼の内閣に引き込むエイブラハム・リンカーンの知恵を称賛しており、タカ派であるクリントンやゲーツを引き込むことによってこの知恵に従っていたが、それは同じぐらいの力量がある批評家とのバランスを取ることを否定していた。

ゲーツはネオコンと密接に結びついた冷戦期の忠実な兵士であり、レーガン政権期において、イラン・イラク戦争を通じて双方に対して武器売却を促進しており、アメリカ軍を肥大化することを正当化するために、ソ連を脅威とみなす見解に沿わないアナリストたちをパージしていた。そして中央アメリカにおけるレーガン政権の残忍な政策の推進者であり、ニカラグアのサンディニスタ政権に対する違法で不透明な措置を擁護していた。

パキスタンの元大統領であるパルヴェーズ・ムシャラフはアメリカによって利用され見捨てられたと感じていたと述べており、パキスタンの核開発プログラムによってアメリカの制裁はさらに緊張関係を悪化させていたが、同時多発テロ以後、アメリカは再びパキスタン人に援助を求めていた。しかし今度はパキスタン人は手を貸すことにそれほど熱心ではなく、アメリカは、パキスタン人がアフガニスタンのタリバンに対する支援を止めることを含めてアメリカの要求に応じないならば、石器時代に戻すまで爆撃すると脅していた。パキスタンは不承不承パートナーになっていた。

パキスタン人は国内におけるアメリカのドローンによる攻撃が増加していることに怒りを覚えており、ワシントン・ポスト紙はオバマが就任してから3年で1,350人から2,250人の死者をもたらしたことを報じていた。オバマはドローンによる攻撃を正当化しており、多くの無実の民間人を殺害していた。デヴィッド・キルカレンやアンドリュー・イグザムは、ドローンによる攻撃が700人の民間人とわずか14人のテロリストのリーダーたちを殺害しており、その成功率が2%であったことを示すパキスタンの新聞報道を引用していた。ファイサル・シャザードは、もし人がアメリカを攻撃したらあなたはどのように感じるだろうか、あなたは主権国家であるパキスタンを攻撃しているんだ、と述べていた。パキスタン人にとって被害者は正真正銘の人間であったが、ドローンの操縦者にとって被害者は潰された虫けらのような存在であった。

しかしアメリカの同盟諸国や国連関係者はそのようにターゲットを定めた殺害の適法性に疑問を呈していた。2011年9月にイエメンでアメリカがアンワル・アル・アウラキやサミール・カーンを殺害したときに、その適法性についてさらなる懸念が生じていた。そしてドローンによる攻撃は数多くの敵を生み出していた。2009年にアメリカがイエメンをドローンで攻撃したとき、アラビア半島のアルカイダはイエメンでは300人以下しか存在していなかったが、2012年までにその数は700人以上に跳ね上がっていた。ワシントン・ポスト紙が報じたように、南イエメンでのさらなるドローンによる攻撃はアルカイダに関連した戦闘員に対する共感をもたらし、アメリカに抵抗するテロリストに連なるネットワークに対して部族民が参加するように促していた。地元の人権活動家は、ドローンはアルカイダのリーダーたちを殺害するが、同様に私たちのヒーローに対しても銃口を向けていたと述べていた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、もし各国においてターゲットを定めた殺害を正当化するならば、中国がニューヨークに在住するウイグルの活動家をターゲットにし、ロシアがロンドンに在住するチェチェンの武装勢力を殺害することを妨げるために何ができるだろうかとの問題意識が存在していた。

オバマとそのアドバイザーたちはアメリカがベトナムへの関与を強めたことをテーマに据えたゴードン・ゴールドスタインによる『大失敗からの教訓』を参照しており、それは一枚岩の共産主義者による脅威とドミノ理論についての基本的な仮定に対して疑問を呈することに対して外交政策の立案者が失敗したことがアメリカの方向性を誤ったものにしていたことを示しており、オバマはアルカイダやタリバンに対処するにあたって同じ間違いを犯さないことを決意していた。

オバマは、ベトナム戦争がジョンソンの大統領としての地位を崩壊させたように、アフガニスタンで行き詰まることが彼の大統領としての地位を運命づけると理解していた。その間ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙の編集者たちはタカ派に戻るためにできる全てのことを行なっており、フェアネス・アンド・アキュラシー・イン・メディア・レポートによれば、タイムズ紙は戦争を支持する36本のコラムを掲載し、また同時に戦争に反対するコラムはわずか7本であり、他方ポスト紙ではその比率は10対1以上であり、編集者たちがタカ派的な立場を非常に明確にしていたことが指摘されていた。

アフガニスタンが実際に必要としていたものは経済援助や社会改革であり、アメリカ軍ではなく、貧困の深刻さは甚大なものであった。その状況でアメリカ軍の増派はアフガニスタンが最も必要としていないものであったが、多くの人々が失態を演じることからオバマを救おうとしていた。アイケンベリーは、パキスタンに聖域が残っている限り、増派がゲリラ戦を終結させることはないといったことを明らかにしており、ハーミド・カルザイの汚職やアフガニスタン軍と警察の脆弱さがその状況をさらなる絶望に変えていた。そしてドローンのような夜間の襲撃が無実の市民を間違ってターゲットにしていた。2011年5月にジャララバードの外にある住居においてNATOによる深夜の襲撃がタリバンのリーダーと間違って地元の警察官を殺害していた。

カナダに脱走した20才の兵士は、共感するという人間の能力が崩壊していくプロセスを描き出していた。そして人間以外の何かとしてアフガニスタンの人々を眺めていたことに言及していた。また歩兵部隊に所属する戦闘について献身的な殺人鬼を創り出す最良の方法は簡単なことでレイシストとして教化することであり、例えば大都市の路上で頭が空っぽな人を兵士として採用するか、いくつかの田舎町から兵士を採用するように、錯乱した若者たちのグループを無実のアフガニスタン人たちを殺害する殺人チームに変えるために、馬鹿げたプロパガンダが効果的であったことが指摘されていた。しかし殺害された人々の上でポーズを取る兵士の写真がシュピーゲル紙に登場したとき、アメリカの当局者は不快であったに違いなかった。

ウィキリークスによれば、腐敗は蔓延しており、それは指導的な立場の人物をほとんど全て含んでいた。そしてタリバンは権力を握っていたときにコントロールされた麻薬取引を維持するために実際にはよい仕事をしていたが、アメリカの侵略後、麻薬が広く蔓延するようになっていた。多くのアフガニスタン人は薬物の乱用に苦しんでいた。カルザイ政権では違法薬物はタリバンに対して安定した資金のフローをもたらし、タリバンは違法薬物に対して10%の課税を行ない、追加料金で薬物の輸送を保護しており、間接的にアメリカやNATOから数百万ドルを受け取っていた。カブールにいるNATOの高官は、私たちは敵と味方の双方に資金を供給していると不満を述べていた。

オバマは多くの腐敗や不正をよく知っており、アメリカ人はこの戦争に懲りているとのフラストレーションを述べていたが、ウッドワードは、オバマに言いたかったことは軍のアドバイザーたちに立ち向かう勇気だと述べていた。バイデンは、数が問題ではなく、戦略が問題であると説明していた。しかしジョン・ティエンはオバマに対して軍とのつながりを無視することができないことを警告しており、マレン、ペトレイアス、マクリスタル、ゲーツといった軍の司令部全体が抗議の辞任をするかもしれないことをほのめかしていた。ところがオバマが窮地に追い込まれていくのを見て、ダグラス・リュートやコリン・パウエルはこの案に我慢する必要がないことを述べていた。トーマス・フリードマンは戦争を拒否する勇気を持ち合わせていないことに言及していた。

ペンタゴンはアフガニスタンがさまざまな電子機器のバッテリーに必要なリチウムにおいてサウジアラビアのようになる可能性があると予測していた。ペトレイアスはそのことに同意しており、ここには素晴らしい可能性があると述べていた。しかし西欧の投資家たちがアフガニスタンの安定化を待っている間に、資源を渇望した中国の国営企業がアフガニスタン東部で銅鉱を採掘する権利を獲得していた。

パキスタンはアメリカとカルザイを仲介する決定を行なっており、カルザイはアメリカやNATOが軍事的に勝利することはありえずいずれ撤退するだろうと感じていたと述べていた。ネイビーシールズがビン・ラディンを殺害したとき撤退への圧力が劇的に高まったが、アメリカはビン・ラディンを発見し襲撃することをパキスタンに警告していなかった。その襲撃はパキスタンに大きな困惑を残し、アシュファク・パルベズ・カヤニは、パキスタンはもはやゲリラに対するドローンによる攻撃に対して協力せず、パキスタン国内におけるアメリカの諜報活動を大幅に制限することを発表していた。

カルザイが、もしアフガニスタンの住宅に爆撃を続けるならば、NATOに対して一方的な行動を取ると述べたことに対して、アイケンベリーは、私たちは占領者と呼ばれており、私たちの寛大な援助のためのプログラムは全く効果がなく、あらゆる腐敗の源であることを耳にすると、私たちのプライドはズタズタになり、私たちは行動に移すためのアイデアを失いかけていたと述べていた。そしてカルザイは、もしパキスタンとアメリカの間に戦争が生じるならば、私たちはパキスタンの側に立ち、私はアメリカの兵士に対してこれ以上アフガニスタン人の居住地域に入り込んでほしくないことを願っていると述べ、アメリカの支持者を激怒させていた。

2011年10月にオバマは年末までにアメリカ軍がイラクから撤退することを発表していた。『エピタフス・オブ・ザ・ウォー』の中でキップリングは、もしなぜ私たちが殺害されるのかについて疑念が生じることがあるならば、私たちの父がウソをついていたからだと答えなさいと記していたが、オバマの発言も同様に痛ましさを感じさせるものであった。

イラクは、数十人の死者や数百人の負傷者と内戦の危機に直面させられた一連の自爆テロによって苦しめられていた。スンニ派は特に苦悩を感じており、アメリカの当局者が2010年の選挙後に作り上げた連立政権は事実上崩壊していた。クルド人が石油が豊富であるクルディスタンを立ち上げたのと同じように、スンニ派の地域はより大きな自治権を求めており、イラクは3つの地域に分割される恐れがあった。

この2つの戦争は紛れもない惨事であり、ゲーツでさえアメリカを侵略国の立場に凋落させた防衛とは無縁の戦争であったことを認めていた。ゲーツは、アジア、中東、アフリカに大軍を再度送るように大統領にアドバイスする将来の防衛長官は誰であれ、マッカーサーが緻密にそうしたように、自分の頭の中をよく検証しなくてはならないと述べていた。

数年に及ぶ近視眼的なアメリカの政策の帰結は帰還することであり、アラブの春の驚異的な民主的変動がアメリカが形成してきた地域を根本的に変化させていたので、アメリカが傍観者の役割を担っていた中東以外にアメリカの帰結が明白な地域はどこにも存在していなかった。拷問の代理人としてエジプト、リビア等と同じように、次々に独裁者を武装させ、訓練し、支援する一方で、数十年にわたりイスラエルを無批判に支援していたことは、あらゆる道徳の権威においてアメリカを引き裂くことになっていた。アメリカが公言していた民主主義は空疎であった。そしてイラクやアフガニスタンにおいてアメリカ軍が直接的にであれ間接的にであれ数十万人の民間人を殺害した後で、民間人に対して武力を用いる抑圧的な体制に対して、アメリカ人が怒ることの意味を真剣に受け止める人はどこにもいなくなっていたとの指摘が存在していた。

ゲイス・アル・オマーリは、現在アメリカ人たちをディスることが流行しており、アラブの春がアメリカの援助なしで生じていたことに言及していた。エルバラダイは地域全体に数十年にわたって後進性と抑圧を押し付けてきたアメリカを非難していた。バーレーン、イエメン、シリア等の残虐行為やワッハーブ派の過激派がアルカイダ等に資金を供給していたサウジアラビアにおける激しい内部弾圧に直面して長らくアメリカが何もしてこなかったことを鑑みると、残虐行為を防止する口実でリビアのムアンマル・カダフィを殺害し、体制転換を図るためにアメリカが支援することは偽善の匂いがしており、その教訓は、アメリカの同盟国のみが虐殺や市民に対する抑圧を許されているらしいということであった。事実、抑圧的な中東の体制を批判するときに、オバマはあからさまにサウジアラビアに対する言及を除外していた。

そしてアメリカは右傾化したイスラエル政府との継続的な関係によって追い込まれていた。一番の問題はイスラエルに占領された東エルサレムとヨルダン川西岸地区の50万人に及ぶユダヤ人入植者の存在であった。2006年のハマスの選挙後のイスラエルによるガザ封鎖はこの問題を複雑にしていた。これは不公正で理不尽であるばかりでなく、イスラエルの希薄な民主主義を維持することさえ脅かすだろうといったことが認識されていた。アメリカは、不法なだけでなく和平の障害となっているパレスチナ自治区に対するイスラエルの入植を非難する国連安保理決議に対する拒否権によって、イスラエルとパレスチナの紛争についての国際世論を軽視していた。

イスラエルはますます孤立していった。そしてエジプトのホスニー・ムバーラクの追放とパレスチナ人に対するトルコの支援の増大はイスラエルにとって最も親密な同盟国を2つ失った形になっていた。それでもネタニヤフやその右派はタカ派的なままであり、オバマや国際世論を無視して、東エルサレムやヨルダン川西岸に対する入植を拡大しており、そのような行動がパレスチナ国家の樹立に対する展望を損なうことが熟知されていた。ジーブ・スターンヘルは『イスラエルの右派は長年にわたる戦争を必要としている』と題した記事を記していた。

イランとの戦争はイスラエルの右派の想像力を最も魅了していた。イスラエルのタカ派はイランの核施設に対する攻撃を支援しようとしており、彼らはそれが原爆を製造するために用いられていると主張していたが、サウジアラビア、トルコ、エジプト、シリア等に対する核軍拡競争を誘発するかもしれないため、イランが原爆製造に着手しないための十分な理由が存在していた。そしてイスラエル人の大多数が軍事攻撃に反対していた。

アメリカのパワーと影響力の低下はラテンアメリカでも顕著であり、中東のように、国民の生活よりもアメリカのビジネスや政治的な利益を優先する独裁者たちを支持してきた歴史の影響は、反米主義の波をもたらしていた。最も親密なアメリカの同盟国であるコロンビアでさえ、その関係を見直していた。フアン・マヌエル・サントスはコロンビアの富裕層と貧困層の格差を縮める政策を採用しているのみならず、ベネズエラやエクアドルとの関係をも修正しており、ウゴ・チャベス‎を新たな最良の友と呼んでいた。ダニエル・オルテガは、モンロー・ドクトリンと永遠に決別することにしたと宣言し、フェルナンド・ルゴ‎は、ボリバルの土地に立っているとは何と素晴らしいことかと述べ、ボリバルの夢が少しずつ具体化していると付け加えていた。

南北アメリカ大陸のサミットにおいて、アメリカはさらに孤立しており、アメリカが事前に議題を設定し、議論の中身を命令していたことに対して、実際の議論はその枠組みから外れており、カルデロンはその変化を、率直に問題が論じられること自体が信じられないと述べていた。そしてラテンアメリカのリーダーたちは、キューバの参加を禁じるアメリカの努力やアメリカやカナダによってのみ擁護される立場に対して愛想を尽かしていたことを明らかにしていた。

中東やラテンアメリカでの挫折にもかかわらず、チャルマーズ・ジョンソンによれば、アメリカは国際的に展開された基地を通じてグローバルなヘゲモニーを維持していた。ニック・タースによれば、基地は1,000以上存在しており、その広大なネットワークを維持するためのコストは数百億ドルに及んでいた。2010年にアメリカは依然として日本に124個所の基地を保有しており、そのうちの38個所は沖縄に存在していた。韓国にも依然として87個所の基地を保有していた。その軍事力は、冷戦スタイルの大型の基地から、高度に機動的な部隊が展開するための起点として機能する「リリー・パッド」として知られる広範に分散化した小型の基地へとシフトしており、そのような基地は中東、アジア、ラテンアメリカで増加していた。

アメリカは苦境に直面しており、冷戦後の世界は冷戦期のルールで動くことを拒否していた。前例のない軍事力や圧倒的な経済力もアメリカのリーダーたちが望むように歴史をねじ曲げる力を有していなかった。国際社会がアメリカによるコントロールから逃れていく中で、独裁的な共産党が政治システムをコントロールしている中国の興隆は対照的なできごとであった。中国はすでに世界第二位の経済大国の地位について日本と入れ替わっていた。

2011年10月にヨーロッパは中国に援助を求め、欧州金融安定化基金に数百億ドルが投資されていた。中国は世界の金融のリーダーとしてアメリカが長らく担ってきた役割を担うことを求められており、ヨーロッパにおける主要な経済資産を買い占めており、ヨーロッパは中国の最大の貿易相手国になっていた。そして中国は、発展が衰退している西欧のシステムより中国の政治経済システムが優位にあると主張していた。同時にアメリカのリーダーたちやアジアの隣国を悩ませながら、急速に軍事力を近代化していた。

もし中国が東シナ海や南シナ海で紛争中の石油、ガス、鉱物資源に富んだ島々や領域に対して攻撃的でないならば、軍事力の近代化はそれほど驚くべきことではなかっただろう。南シナ海での中国による領有権の主張はベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイによる主張と紛争関係にあった。東シナ海では中国と日本との緊張が高まったままであった。2011年10月に環球時報は、もし各国が中国に対するやり方を変えないならば、各国は大砲の轟音に対して準備する必要があるだろうし、これは海上での紛争が解決される唯一の方法であるかもしれないので、私たちはそれに対して準備をする必要があるとの記事を掲載していた。

中国の軍事力の増強、エネルギーや原材料に対する攻撃的な買い占め、弱い隣国をいじめることはアメリカが登場する機会を与えており、友好的に紛争を解決する代わりに、アメリカのリーダーたちは地域の緊張を利用し、中国の脅威を誇張していた。中国の軍事力増強を報じながら、アメリカの当局者は、中国が過去20年間で実質的に陸軍のサイズ、空軍の戦闘機の数、潜水艦の数を減少させており、GDPに対する防衛費の割合が日本、韓国、台湾と同レベルであることに言及することを拒否していた。アメリカはでっち上げられた危機を活用する準備ができているように思われていた。アメリカは中国を経済的に軍事的に政治的に封じ込めることを始めており、他のアジア諸国に対してその支援を行うように圧力をかけていた。

ロバート・ウィラードは、中国の増大する軍事力に対抗するためにインドとの戦略的連携を強化するための努力が進行中であることを言及していた。そしてインドは中国を封じ込めるための努力において大きくその姿を示していた。タイムズ紙の社説は、政権はいじめた後に口車に乗せて間違った考えでインドとの核取引を国際的に承認させていると記していた。それは核不拡散の取組みに対する後退であった。そしてオバマは戦略的パートナーシップを加速していた。

日本の首相である鳩山由紀夫が沖縄にある大規模な米軍基地を普天間から辺野古へ移転する合意を再交渉しようとしたときに学んだように、アメリカは心を決めかねている人々に対して我慢強く接することはなかった。沖縄県民の激しい反対にもかかわらず、オバマは日本がその約束を遵守するように主張していた。鳩山はアメリカの圧力に屈し、彼の政権は崩壊していた。そして菅直人はその教訓から学んでいた。日本は、ロシアからの脅威を重視しない軍事ドクトリンにシフトし、中国や北朝鮮と闘うためにリソースをシフトすることを発表していた。日本の機動部隊はアメリカ、オーストラリア、韓国と大幅に協調することになった。日本の新たな防衛大綱は東シナ海や朝鮮半島での危機に対処するために迅速に部隊を展開することができるように機動力を高めることを記していた。

中国のリーダーたちは彼らを包囲しようとしているアメリカを非難しており、中国でなくアメリカが地域における軍事力を誇示していると主張しており、隣国との紛争を平和的に解決しようとしていると主張していた。人民日報はアメリカに対して、中国の核心的利益を不当に害することが可能であるとアメリカの政治家が考えているならば、それは完全に間違っていると伝えていた。オバマがダライ・ラマと会うことを決定したことを含めて、さまざまな問題に対して中国人は同様に怒りを感じていた。

中国のリーダーは、中国が輸入する原油の大半を運搬するタンカーが通過する南シナ海におけるアメリカのコントロールを狭めることによって、実際にはアメリカの船舶が脅かされていることを理解していた。中国は平和的に地域間の格差を解消することを約束していたが、同様に彼らの利益を守り抜くことを明らかにしていた。

中国との対立を煽ることで、アメリカとその同盟国は非常に危険なゲームに関わることになっていた。中国に対する経済依存は彼らを特に報復に対して脆弱なものにしていた。アメリカ国債を1兆ドル以上保有している国として中国はアメリカ経済を牛耳っていた。そして問題を複雑化させていることに、中国がアジア諸国の中で最大の貿易相手国としてアメリカとその地位について入れ替わっていたことが挙げられていた。また日本と中国は通貨をお互いに直接交換できるようにし、ドルを購入する必要性をなくすことを発表していた。そのような動きは中国が望むように人民元をドルに対する代替通貨の地位に据えるための重要なステップを示していた。

アメリカはその経済的地位を強化するための努力に固執していた。2011年の秋にアメリカはアジア、ラテンアメリカ、北アメリカの同盟国とTPPと呼ばれる自由貿易連合を形成していた。TPPは中国を招いておらず、フレッド・フーはそのことに対して疑問を呈していた。またアメリカ太平洋軍はハワイ沖の大規模な軍事演習にロシアとインドを招いていたが、中国は招かれていなかった。

アメリカのヘゲモニーに対する自負は強いままであったが、アジアや世界の他の地域を取り締まる警察国家としてのアメリカの機能はバジェット・クライシスによって制限されていた。そしてアメリカに対するアジアの同盟諸国はアメリカの努力を妨げるような予算上の制約に直面していた。シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、ギラード政権は74年間で最も低くオーストラリアの防衛費を削減することを選択していたと述べていた。アメリカにとって、太平洋とは別に、防衛予算の縮小は部分的には57万人から49万人へと陸軍のサイズを削減することやヨーロッパでの軍事力の削減から生じていた。オバマはパネッタに対して、私たちは時代遅れの冷戦時代のシステムを取り除き続けるだろうし、そうなれば私たちは将来必要な機能に投資することが可能になるだろうと述べていた。

ゴルバチョフは、歴史の進路を変えることを許容した大胆な構想を追求するようにオバマに促していた。そして、アメリカは今ペレストロイカを必要としており、なぜならオバマが扱う問題は簡単なものではないからだと述べていた。ゴルバチョフは、世界的な景気後退を引き起こし、富裕層と貧困層の格差を固定化した規制のない自由市場政策を終焉させることを求めていた。またアメリカはもはや世界の残りの国々を支配することはできないと警告していた。

2012年は夜明けのように世界が流動的になっていた。2011年には世界で支配的なエリートたちがガタガタになる大変動を認識することになり、タイム誌は今年の人に抗議する人々を選んでいた。モハメド・ブアジジによる単純で絶望的な行動は民衆による反乱に火をつけ、23年に及ぶベン・アリー‎による支配を打ち倒すことになった。その運動は即座にアルジェリア、エジプト、そして世界中に伝播していった。2011年2月にウィキリークスが25万件に及ぶアメリカの公電を公開したことが燃え盛っている炎に油を注ぐこととなった。リビア、シリア、イエメン、バーレーンの抗議者たちはすぐに政府のコントロールから解放されることを求めていた。政府や銀行に課された緊縮財政に対する反対はヨーロッパ、特にスペイン、ギリシア、イタリア、フランス、イギリスに広がっていた。中国の市民は腐敗や不平等に抵抗し、政府関係者たちをものともしなくなっていた。ロシア人たちは不正投票やプーチンによる独裁体制に対して立ち上がっていた。日本人は福島原発事故の影響で政府や電力会社のウソに対して怒りを表明していた。

アメリカでは、オキュパイ・ウォールストリートが、富裕な1%の層と残りの99%の層の間の格差が拡大していることについて関心を向けさせていた。2012年にジョセフ・スティグリッツは、6人のウォルマートの相続人の資産の合計である900億ドルはアメリカ人の底辺の30%の資産の合計と等しいことを計算していた。失業率が上昇し、インフラストラクチャーが老朽化し、社会的サービスが削減されたときに、アメリカは巨大でグローバルな帝国を維持する余裕があるのだろうか。地球を取り締まることが本当にアメリカの利益になるのであろうか。アメリカ人に対して脅威にならない国々を再度アメリカが侵略することはあるのだろうか。

労働者たちの権利、社会正義、1930年代や1960年代に見られた反戦闘争に耳を傾ける運動は数百万人の人々や特にアメリカの若者に火をつけていた。数十年間で初めてユートピアの可能性を感じ取り、アメリカ人は公正で公平な社会とはどのようなものかについて考えを巡らし始めていた。もはや彼らは無節操な権力に我慢することなく、公的な生活と私的な生活のすべてを支配している富裕層に影響されることもなかった。国際的に広がった新たなアメリカの行動主義と民主的な奮闘の連携は将来に向けて主張を行なっていた。

バラク・オバマは以前の変革を思わせる人物に戻る弱い兆候を示し始めていた。オキュパイ・ウォールストリートがメッセージを伝えることに成功し、共和党が譲らず、経済が停滞し、予算が制約され、支持率が上下することに刺激され、オバマは昔のダイナミズムを取り戻すように思われていた。オバマはイラク戦争を終結させ、防衛費を削減していた。オバマがケネディ風にシリアに取り組み、アメリカの軍国主義や帝国主義がアメリカ人の生活や他の世界の人々をどれほど貧困にしているのかを認識することはあるのだろうか。明白なことは、アメリカを本質的な意味において民主的にし、公平性を実感できるものにし、革命の魂を取り戻すといったアメリカを変革するための希望は、反抗的な集団と付き合っているアメリカ市民の中にあり、歴史の教訓を広め、その人々の歴史はもはや語られることのない性質のものではなく、富裕で貪欲で権力が強大な人々のためではなく、圧倒的多数の利益を示す世界の創造を求めていることであった。このような運動を打ち立てることは、かつて蔓延していた安全保障を第一に据える国家を支配する人々からアメリカの民主主義を救う唯一の希望の灯火であった。1787年に女性がベンジャミン・フランクリンに対して、じゃあ、私たちは何を手に入れたのと尋ねたときに、フランクリンは、共和国さ、もしあなたがそれを維持できるならばねと答えていた。

上記の第14章の概略に関する詳細な邦訳は、早川書房から出版される、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史3』といった邦題からなる作品の中に収録されることを追記する。

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2016・11・15 改訂
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このページは、Suzuki TakashiがMay 3, 2013 4:25 PMに書いた記事です。

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  • Word Smart for the GRE, 2nd Edition
  • Princeton Review (著)
  • GRE用の語彙が678語収録され、Quick Quizは65課あり、6~15題で1課分の知識の確認を、Final Exam Drillの570題で57課分の確認を行うことになる。類書にSAT用のWord Smart、Word Smart Ⅱ等があり、それらを含めて繰り返し訓練するとなると、結構時間が掛かるのは当然だろう。又、音声教材としてSAT用だが The Princeton Review Word Smart CD があり、All or Nothingから始まる14のドラマに228語が散りばめられている。
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